奇しくも東日本大震災の月命日の11日、鹿児島の川内(せんだい)原発が再稼働された。
新しい基準となってからは初の再稼働となる。
14日には発電が開始される予定だ。
世界一厳しい基準に適合したというが、そうなのだろうか。


確かに、津波や地震時の全電源喪失対策は問題ないと思われる。
むしろここを蔑ろにしたら、何の為の対策なんだかわけが分からない。
しかし、火山の対策には疑問を感じざるを得ない。
読売新聞の社説では、噴火の兆候があれば燃料を運び出すことも決めた、とあるが、通常燃料を運び出す前の冷却期間として数年が必要とされる。
つまりは数年前からの噴火予知が不可欠となるわけだが、果たしてそんなことは可能だろか。
原子力規制委員会の田中委員長は、いざとなれば3ヶ月で燃料は持ち出しが可能と言うが、今のところその技術は確立されていない。
また、チェルノブイリのように石棺にしてしまうことも考えられるとのことだが、さすがに荒唐無稽だろう。
また降灰の予想も甘い等、ゼロリスクを求めろとは言わないけども、さすがに想定が甘すぎると言わざるをえない。
それもそのはず、原発が稼働している間に大規模な噴火は無いという見通しだからである。
原発推進というバイアスがかかるとここまで楽観的になってしまうものなのか。
http://economic.jp/?p=42375


最終的にはそこに住む人がOKすれば良いとは思うが、避難計画も十分だと言えない以上割を食う気がしてならない。
http://toyokeizai.net/articles/-/44307


また、放射性廃棄物の問題も結局棚上げとなったままである。
六ケ所村の核燃料処理施設の稼働や核燃料サイクルを進めろとしているが、事故続きで運転できる目処すら立っていない。
それでもやめないのは、継続していないと使用済核燃料の置き場がなくなって原発が稼働できなくなってしまうからだ。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowerplantfuture/36877.html


政府は2030年の原発比率を20~22%としているが、これは現存の原発の運転延長や新設がなければ達成できない数字である。
そんなに簡単に運転の延長を決めてししまって大丈夫なのだろうか。


ボストン・コンサルティンググループの日本代表御立尚資さん曰く、 日本人は、「失敗から学んで次に生かす」ことは得意だが、「想定外を想定する」ことは下手である、という。
福島第一原発の事故の原因は、想定外の津波である(一応地震には耐えたといわれている一方で、津波が来る前に既に制御不能であったという話もあるが)。
川内原発は想定外を想定しているだろうか。
大規模な噴火は起きないとしている時点で、もうすでに想定外が生じているのだけども・・・。