2015年5月、48カ国、400都市以上で2015年5月に世界的規模のモンサント社による遺伝子組み換え(GMO)反対するデモが開かれた。
http://shinhakken-blog.seesaa.net/article/421558369.html

その記事に対し、ツイッターに、「農薬は毒物であり、それを減らす遺伝子組み換えに反対する理論が分からない」とか、「遺伝子組み換えをよく知らないから、結果的に毒(農薬)の方を選ぶ」という反応があった。
確かにそれは見方の一つではあるが、食って危険とか、そんなわかりやすい物を出すわけがない。
遺伝子組み換え作物の危険はもっと分かりにくいところにあるのではないかと私は考えている。
というのは、遺伝子組み換え作物は非常に近視眼的であり、確かに短期的には農薬や除草剤は減り、収量は上がるかもしれないが、それはあくまで自然がその作物に対応するまでの話である。


例えば除草剤は、雑草が遺伝子組み換え作物に使われる除草剤(遺伝子組み換え作物以外の草を枯らすもの)に耐性を持ってしまえば、もっと大量に撒くか別のものを撒くか、それより早く遺伝子組み換えを行うかしかなくなる。
また、殺虫効果のある作物も同様に、害虫がそれに対応するまでの話である。
自然がどのくらいの期間で対応してくるか分からないが、賞味期限はそう長いものではないだろう。
そうなれば、結果的に農薬も除草剤も多く使われることになってしまう。
また、単一の作物を大量に育てることにより、一気に病害虫にやられてしまう可能性も否定できない。


他の作物との交配も心配だ。遺伝子組み換え作物が野に放たれた時に、一体どんなリスクがあるのか未知数である。
さっさと枯れてくれればいいのだけども、恐らく生き残るものがあり、何かしらの影響を与えるだろう。


世界の食糧危機を救う触れ込みの遺伝子組み換え作物であるが、この手の作物の種子は非常に高価であり、大体が一代のものである(遺伝子組み換え作物から収穫した種子、いわゆる子供は、親の持つ優れた特性が急速に衰える。いわゆる雑種第一代、F1と呼ばれるもの)。
農家さんは高価な種子や農薬、除草剤をずっと買い続けなければならず、結果的に貧しい人たちの口には入らない。


そして水を大量消費することで、地下水や湖の枯渇などの水問題を引き起こす。


それらが解決できるのであれば、私は遺伝子組み換え作物に賛成しよう。
でもそれは、近視眼的な人間の特性や、短期的な儲けを求める今の資本主義や貨幣システムがある限り無理なのではないだろうか。
遺伝子組み換え作物の問題は、作物の問題だけにあらずというのが私の結論である。

 マンガ、SEEDにこんな言葉がある。

 自然だけの世界も人間だけの世界もない。
人のいる所では人が必ず自然に働きかける。
人のやることを自然が許してくれる限り人は生きてゆける。

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遺伝子組み換え作物を自然は果たして許してくれるだろうか。

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