ミルクティー論争と言えば、紅茶の本場、イギリスにおいて100年以上も論議されてきた問題である。
それは、ミルクティーを作る際、カップに先にミルクを注いでおくべきか、それとも紅茶かということだ。
ミルクに紅茶を混ぜるか、紅茶にミルクを混ぜるかと言い換えても良い。

長らく続いてきたこの論争、実は2003年に決着を見ている。
最も権威のある、英国王立化学協会が「ミルクが先」という結論を出している。
カップにミルクを入れておき、そこに紅茶を注ぐのが最良とのこと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC

なぜか?

それは混ざりやすさと温度にある。
ミルクティーを作る際、普通はミルクよりも紅茶の方が多い。
少ないものに多いものを注ぐことで、速やかに混ぜることができる。

ミルクと紅茶が混ざっていない状態だと、ミルクが温度の高い紅茶に長く触れることになり、タンパク質の変性や風味の劣化が起こるという。
こうなると、ミルクの爽やかさは失われてしまう。

美味しいミルクティーはミルクが先!
お試しあれ。

ミルクティーには発酵度の高い茶葉が合うようです。




で、終われればいいのだけれど、ここで日本の持つ悲しき側面が浮かび上がる。

紅茶にミルクを注ぐと美味しくなるなくのは、タンパク質変性等によるものだと書いた。
つまり、紅茶を注がれる前はタンパク質変性が起きていないことを前提としているということ。
こと、日本でミルクティーを作るにあたっては、ミルクが先でも後でも変わらないと思う。
日本で一般的に牛乳として流通しているものは既にタンパク質変性が起きているからだ。

ご存知の方もおられると思うが、一般的に流通している牛乳には高温殺菌のものと低温殺菌のものとがある(中間くらいのものもあるが、今回は省く)。
高温殺菌では120℃で2秒、低温殺菌だと60℃前後で30分というのが一般的だ。

牛乳のタンパク質は75℃を境に変性を始めるという。
ということは、高温殺菌のものでは変性してしまっているということになる。
また、タンパク質の変性だけでなく、カルシウムなどの栄養素も身体に吸収されにくいものとなり、乳酸菌などの善玉菌も死滅してしまうという。
焦げ臭もする。
日本に流通している牛乳は、そんな言わば抜け殻のようなものがほとんだ。

このような殺菌方法が一般的になったのは「森永ヒ素ミルク事件」が発端とされている。
完全殺菌による安全神話(原発みたいですが)なのだそうだ。

高温殺菌と低温殺菌の牛乳は飲み比べてみれば瞭然。
低温殺菌のものはどこまでも爽やかで、まったくクセの無いクリームを飲んでいるかのように味とコクがある。
高温殺菌ではそれは失われてしまっている。

各社何とか製法とか、耳障りの良い言葉を並べて美味しさを謳ってはいるが、そんなもの、パッケージの裏を見て高温殺菌であれば排除だ。
大元がダメなのに外側だけ取り繕って良かった試しなんて無いからだ。

外国では、一般的に流通しているのは低温殺菌牛乳であるとのこと。
ミルクが先か、紅茶が先か、そういう論議の土台にすら乗れない日本は一体なんなのか。

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そして一度は飲んでみたい特別牛乳。
どんな味がするのだろうか。


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