時計の歴史は、時を正確に計ろうと努力を重ねた歴史である。
ゼンマイ、歯車、脱進機などを改良し、正確に時を計ろうとしてきた。
だから、機械式時計とは比べ物にならないほど正確なクオーツ式の時計が開発されたとき、それまでの機械式時計を作る会社が壊滅的な被害を受けたのも仕方がないことだ。
クオーツ式の時計は、機械式では到底出せないような精度を実現していたからである。


時計は大別して、電気で動くクオーツ式と、ゼンマイで動く機械式に分類される。
今では時計と言えばクオーツ式だ。
安価で正確、文句の付けようもない。
月差±10~15秒と言った、もはや狂ってるんだか狂ってないんだかよく分からないくらいの精度が出る。
それで、そこいらのホームセンターでそれこそ数百円から買えるのだから。


対して機械式は手巻き、自動巻きなどあるものの、ゼンマイを巻き、巻き上げたゼンマイがほどける力を利用して歯車を回す。
よくこんなもの作るなと思えるほど超複雑に組まれた歯車群によって、時を刻むだけでなく、ストップウォッチ昨日、カレンダー、月の満ち欠けを示すムーンフェイズなどの表示を行う。
しかし、手間がかかるので非常に高価である。
安いものでも数万円からで、高価なものではそれこそ億単位となる。
もはや値段なんてあって無いようなものだ。
それだけのお金をつぎ込んだとしても、精度はクオーツには遠く及ばない。
大体日差±10~15秒と言ったところだ。
もちろん種類やコンディションによっても大きく異るのは否めない。


つまり機械式時計は、高いお金を出して精度の良くない時計を買う行為であるとも言える。
普通の人にとってはまったく無駄で理解不能な行為だとも言えるが、それでもここ最近は機械式時計が流行っている。
時計の専門誌でも10数詩あるというから驚きだ。
人はなぜ精度を捨ててクオーツから機械式時計に向かうのだろうか。



●チッチッチッチッはテンプの音

機械式時計を触ったことがある人は、チッチッチッチッっと始終音がしていることに気がつくと思う。
そしてその音と共に秒針が少しづつ進んでいく。


機械式時計にはテンプという部品があり、これが往復運動をすることで時を刻んでいく。
振り子時で言うところの振り子のようなものだ。
テンプが往復運動をする時にチッチッチッチッという音が出る。
テンプが決められた時間に何往復するかを示したのが、振動数となる。


基本的な考えとしては、テンプの振動数を上げるとより精度が出る。
1秒間に5振動(1時間当たり18000振動)よりも8振動(1時間当たり28800振動)と言った具合だ。
ちなみにクオーツの振動数は桁違いであり、秒間32768振動(32.768kHz)となる。
一秒間をより細かく刻むことで正確に時を測ることが可能となっているのである。


現在の一般的な機械式時計は8振動が主流となっている。
ブライトリングの音(3分48秒くらいから)。






それ以上の10振動というモデルもある。
ゼニスのエル・プリメロというモデルだ(2分50秒くらいから)。




しかし、私が好きなのはゆったりとした低振動の音である。
5振動の音。




また、中の機構がよく見えるよう裏蓋はスケルトンで、邪魔なローターの無い手巻きが良い。


機械式時計がウケているのは、音や振動、そして動きの楽しさである。
正確な時を求めるのであればクオーツ式を買えば良い。
もう少し足せば、さらに正確な電波時計だってある。


それでも、人はアナログ感に魅せられる。
時計職人の手作業に酔いしれる。
ちょっと鷹揚な機械式時計だからこそ、より時間を楽しむことができるのである。


ところで、私の欲しい時計のメーカーは既にない。
ミネルバというメーカーで、安価ながらも自前のムーブメントで時計を作るっていた。
低振動、手巻き、そして小さいともう、私の理想を形にした時計だ。
ミネルバはクロノグラフが有名だが(キャリバー20)、私はスプリットセコンドダイヤルを持つピタゴラス(キャリバー48)が欲しかった。
チラネジ付きの迫力あるテンプにスワンネック緩急針。
言うことなしだ。
http://www.geocities.jp/tokeihakase/MINERVA.html


ミネルバ社はモンブランに買収されたとか。
こういう安価でグッと来るような時計を作って欲しいのだけれどもなあ・・・。


で、金に糸目を付けないのであれば、フィリップ・デュフォーのシンプリシティが欲しい。
お値段400万円也www
http://media.excite.co.jp/ism/051/05p_dufour2.html


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