ニュージーランド政府制作の交通事故の悲惨さを訴えるビデオは悲惨だと聞いてみたら、本当に悲惨だった。
幹線道路を飛ばす車と横道から出てくる車。衝突は不可避で、事故の1秒前に時間が止まる。双方の運転手が降りてきて、言葉を交わす。
「すまない、行けると思ってしまった。」
「俺ももってゆっくり走っていれば・・・」
「お願いだ。息子が乗っているんだ」
「速すぎてどうしようもできない」
その言葉を聞き、運転席へと戻る運転手の顔が忘れられない。そして時間が動き出し・・・。

 

事故のきっかけは本当にささいなことである。
ちょっとスピードが出過ぎた。
ちょっと何かに気を取られた。
逆に集中しすぎると周りが見えなくなったり。
運転しているとどうしても起こり得ることだ。あまりに脇見運転がヒドイとか、無謀運転が過ぎるとかだと直さなければならないが、人間である以上は恐らく100%やらないのは無理だろう。
人間とはそういうものだと、ある程度はそう思うしかないのだと思う。


 いい加減な人間というものを受け入れた上で私が自己対策として有効だと思うのは、自分は事故を起こす可能性があると常に認識しておくことだと思う。
シートを水平近くまで倒し、肩肘を立てて運転したり、サンダルやハイヒール、クロックスなどでペダル操作を行う等、確かに平常時であればそれでも問題ないのかもしれないが、それを逸脱した時にとても対処できるようには思えない。
車が誰でも簡単に運転できるようになった副作用なのだと思うが、動いている車は、銃の弾丸なんかとは比べものにならないほどの運動エネルギーを持っている。
エネルギーの比較


車が人の列に突っ込むという悲惨な事故は枚挙に暇がない。
車は危険であり、自分が運転をミスすれば簡単に人を殺せるものであることを改めて認識した次第だ。
日本の交通事故の啓発ビデオは、大体が事故後のグチャグチャになった車の写真かなにかで悲惨さを伝えるが、紹介したニュージーランドのビデオのようなエネルギー感は正直感じない。
誤解を承知で言えば、日本のものは現実感が薄い。
自分の運転する車が凄まじい運動エネルギーを持ち、人や物に突っ込む。
そんな生の感覚のようなものが伝わる、とても良いビデオだと思った。
絶対にやりたくないけども・・・。