NHKスペシャル、シリーズ東日本大震災 空白の初期被ばく ~消えたヨウ素131を追う~ を見た。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0112/index.html

ヨウ素131はセシウムよりも沸点が低く、原発事故の初期段階で放出された。
さらに半減期は8日と短い為、事故から2年近くが経った現在では初期被曝の状況が分からないのだ。
番組は、ヨウ素131がどれだけ、どのように放出され、被曝の状況を追ったものだ。


通常時であれば原発周辺のモニタリングポストによって計測されるのだが、地震と津波でそのほとんどが機能を停止していた。
しかし、生き残っていたモニタリングポストからデータを入手し、事故直後のヨウ素131の飛散シミュレーションを作成した。
結果、事故によって放出されたヨウ素131は20.6京ベクレルに及んだ。
これでもチェルノブイリに比べれば10分の1の量であるという。


また、事故直後に国が主導して被曝量(ヨウ素131は甲状腺に集まる為、甲状腺等価線量という数値を用いる)を計測したものの、それがヨウ素131によるものかは分からない計測方法だったという。
追加での調査も検討されたそうだが、ついぞ行われなかった。


しかし、弘前大学が事故直後、ガンマ線スペクトロサーベイメーターという、放射性物質ごとのエネルギーを測ることができる機会で計測を行なっていた。
結果、ヨウ素131による最大による放射線量の最大値は33ミリシーベルトであったという。
チェルノブイリでは50ミリシーベルトを超えたあたりから甲状腺ガンの発症が顕著になったという。
ならば大丈夫かというと、これを乳児に換算すると倍近い数値になるという。


現在ではヨウ素131を直接計測することはできないものの、取り込まれたヨウ素とセシウムの量が一定の比率であることが分かった。
体内被曝を計測するホールボディーカウンターによりセシウムを計測、そこからヨウ素の量を計算することができた。
この値も偶然最大値が33ミリシーベルトであった。


●なぜ国は動かない

これらの調査は学者さんがほとんど手弁当で行なっているという。
なぜ国が真っ先に調査に乗り出さないのか。
事故の全貌を明らかにしなければ、今後の医療体勢や他の原発での対策を立てることができるだろうか。
いや、できないだろう。
国は事故の全貌解明と解決に全力を注ぐべきである。
他の原発の再稼働に取りかかるのはそれからであろうに。
今再稼働を許せば福島第一原発と同じことが起こるのは火を見るより明らかだ。


こちらで福島の実態を反映していない避難基準の見直しを求める署名を行なっています。
1月28日までですので、実態解明に向けての署名をお願いします。
http://www.foejapan.org/energy/action/121228.html



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